メタボを解消するには食事習慣の見直しに加えて、運動を取り入れていくのが効果的です。
これは、実際のメタボ対象者に対する指導でも食事療法と運動療法として推奨されています。
では、実際にメタボ解消のためにはどんな運動が効果的なのでしょう?
また、仕事が忙しくて外での運動やジムに行く時間が無い人でもできる運動はあるのか?
こちらではメタボ解消におすすめされている室内運動、トレーニングをご紹介します!
メタボ解消のための運動とは?

メタボを解消するためには2つの運動を取り入れていくのがポイントになります。
それは有酸素運動と無酸素運動の2つです。
- 有酸素運動:継続して体を動かす運動
- 無酸素運動:短時間に力を使って体に負荷をかける運動
この2つはそれぞれ
- 有酸素運動:筋力アップによって基礎代謝が上がって、体脂肪が燃えやすい体質になる
- 有酸素運動:脂肪燃焼にアプローチ
という特徴があります。
有酸素運動の種類

有酸素運動は、長い時間かけて体を動かす運動です。一般的な有酸素運動の種類はウォーキングやジョギング、エアロビクス、エクササイズ、ダンスなどがあります。他にもサイクリングや水泳、球技なども有酸素運動に含まれます。
有酸素運動は継続することで体脂肪をエネルギー源として使い燃焼させることから、内臓脂肪を減らすのに効果的だとされています。
体力に合わせて運動内容を決められるので、体力に自信が無い人でも取り組みやすいのも特徴です。
無酸素運動の種類
無酸素運動は短時間に強い力を使う運動のことを言います。筋力トレーニングの他に、バーベルなどの器具を使ったトレーニング、短距離走などがあります。
体を動かす時の筋を収縮させるためのエネルギーを、酸素を使わずに作り出すことから無酸素運動と呼ばれています。
強度の高い無酸素運動は1〜3分ほどとで、短時間の運動を繰り返すのが特徴です。
無酸素運動の際に使われる速筋は年齢と共に衰えやすいですが、トレーニングによって筋肉量や強度を高められます。そのため、メタボ解消のための運動として有酸素運動で内臓脂肪の燃焼を促しながら、筋力をアップを目指すことで基礎代謝や体力の向上させることで運動するための体を作りつつ、痩せやすい体を目指せます。
特に年齢と共に運動をする機会が減るため筋力が20代よりも衰えている人は多いので、メタボ対策には無酸素運動も平行して行うのが一般的です。
ただし、無酸素運動は筋肉や関節、心肺機能に負荷がかかるため、体調や現在の健康状況によって運動内容を選ぶ必要があります。
筋トレはメタボ体型を変える土台作りに最適な運動
メタボを解消する場合、ジョギングやウォーキングなどの有酸素運動をベースに筋トレなどの無酸素運動を取り入れるのが最も有効な運動方法と言えます。
筋トレは始めるとキツくて短期間では成果は感じづらいため挫折してしまう人も多いですが、筋トレによって筋量がアップすることで基礎代謝の向上させることに繋がります。
特に太ももなどの下半身の筋肉は体全体の中でも多くを占めており、エネルギー消費量も多いです。そのため、下半身を中心に有酸素運動と筋トレを行っていくことで、脂肪が燃えやすい状態を目指すことができます。
また、筋トレ後は内臓脂肪が燃えやすくなるタイミングでもあるため、メタボ解消を目指すための運動効率を高めてくれます。
トレーニングの量や時間はどれくらい必要?
トレーニングをする時の量や時間については、筋トレは10分くらいでも集中して行うと、少し汗ばむくらいの負荷があります。
例えば、腕立て伏せを30回、腹筋30回、スクワット20回というトレーニングを1セットにして最初は1セットから、慣れてきたら2セット、3セットと増やしても良いです。
その後に有酸素運動として足踏み運動や踏み台昇降運動、庭で縄跳び、近所をウォーキングやジョギングするといった形で体を動かすのが良いでしょう。
厚生労働省では「内臓脂肪減少シート」という資料を公開しています。このシートには自身の体重やBMIを元にどれくらいの運動を行うべきか目安になる数値を算出できる計算式が掲載されていますので、参考にしてみると良いでしょう。
内臓脂肪減少シートは
- 現在の腹囲
- 目標とする腹囲(基準値は男性85cm女性90cm)
- 目標までの期間:確実にじっくりコース(現在の腹囲-目標とする腹囲÷1cm/月)=目標期間・急いでがんばるコース(現在の腹囲-目標とする腹囲÷2cm/月)=目標期間
- 目標達成までに減らすエネルギー量:現在の腹囲-目標とする腹囲☓7000kcal(腹囲1cm減らすのに必要なカロリー)=目標エネルギー
- 1日あたりに減らすエネルギー量:目標エネルギー÷目標期間÷30=1日あたりに減らすエネルギー量
- 1日あたりに減らすエネルギー目標を運動と食事でどのように減らすかを設定する
というような目標設定ができます。
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引用資料:厚生労働省「内臓脂肪減少シート」
例えば腹囲が100cmの男性なら
- 現在の腹囲:100cm
- 目標とする腹囲:85cm
- 目標までの期間:確実にじっくりコース(15cm÷1cm/月=15ヶ月)・急いでがんばるコース(15cm÷2cm/月=7.5ヶ月)
- 目標達成までに減らすエネルギー量:100cm-85cm☓7000kcal=105,000kcal
- 1日あたりに減らすエネルギー量:確実にじっくりコース105,000kcal÷15ヶ月÷30=233kcal・急いでがんばるコース105,000kcal÷7,5ヶ月÷30=467kcal
- 1日あたりに減らすエネルギー目標を運動と食事でどのように減らすかを設定する
というように目標を設定することができます。上記にもあるようにメタボ解消はじっくりと継続していくことが大切です。
効果的なメタボ解消のための運動方法

メタボ解消のためには筋トレと有酸素運動を行うのがおすすめです。
そしてメタボ解消の運動のポイントはメタボは内臓脂肪を減らすことにあります。ですので、まずは内臓脂肪を減らし、その後、さらに筋肉を付ける運動へとシフトしていくのが効率が良いとされています。
この点を踏まえた場合、内臓脂肪を減らすための運動方法は、筋トレを行ってから有酸素運動を行うのがおすすめされています。
これは筋トレによって筋肉を強くするための成長ホルモンが分泌され、血中のブドウ糖と脂肪酸濃度が高まります。この状態で有酸素運動を行うことで、効率良く脂肪分解を促してくれます。
逆に筋肉を付けるための運動方法は、有酸素運動を行い、糖質をエネルギーとして消費し、さらに継続することで脂肪をエネルギーとして使う状態にしてから筋トレを行うことでタンパク質合成が高まります。
ですので、まずは内臓脂肪を減らすことを目的とした運動に取り組み、その後、体を作るために運動の順番を変えるというのがポイントとなってきます。
有酸素運動は日常生活に取り入れることができるのがメリットです。電車通勤の方なら、1駅分だけ歩く、エレベーターやエスカレーターでの移動を階段にしてみる、歩く時の姿勢をただし、歩幅を広げてみるといったことでも運動になります。
糖質・脂質のエネルギーに着目して運動内容を決める
運動に必要なエネルギーには
- 糖質エネルギー:糖類を含む食べ物からから作られるエネルギーでブドウ糖を元にインスリンの働きで血糖となり強度の高い運動で多く使用される
- 脂質エネルギー:体脂肪から作られるエネルギーで体内の糖エネルギーが減ってくると脂肪分解酵素(リパーゼ)が中性脂肪を脂肪酸に分解して筋肉細胞に取り込まれて燃焼、エネルギーへと使われる
という2種類があります。
1つは皆さんもご存知の体脂肪です。
糖質を摂ると筋肉や肝臓に貯蔵されます。(約1500kcalで満タンになる)過食などで糖質を摂りすぎると糖質は中性脂肪へと変わり、内臓脂肪として貯まるのがぽっこりお腹、メタボ体型に繋がります。
糖質と脂質のエネルギー利用の配分システム
運動中の体内のエネルギー利用の配分の仕組みは、運動の強度が上がり酸素が足りなくなるほど糖質エネルギーの消費が増えます。そして運動の強度が下がるほど脂肪エネルギーの消費が増える仕組みが働きます。
これは無酸素運動では糖質エネルギーが使われて、有酸素運動では脂質エネルギーが使われやすくなるシステムです。
そのため、メタボ解消をする上では筋トレなどの無酸素運動をして糖質エネルギーを消費してから、有酸素運動を行うことで脂質エネルギーが使われやすい状態にするのがメタボ解消のための運動のポイントになります。
メタボを予防するのに脂肪を減らすダイエットトレーニングでも、まずはこの流れでトレーニングを行うのがおすすめです。
メタボ解消のための運動〜実践編

メタボ解消のための運動の基本的な知識がわかった所で、実際の運動の種類や、運動によってどれくらいのカロリーが消費されるのかチェックしましょう。
厚生労働省では健康づくりのための運動基準という資料が用意されています。これらを元に自身に合った運動を取り入れるのもおすすめです。
無酸素運動の種類と消費カロリー
無酸素運動は筋トレなどの自重トレーニングがおすすめです。
主な無酸素運動の種類と消費カロリーはこちら
- 腕立て伏せ:10分あたり約100kcal
- 腹筋運動:10分あたり約100kcal
- スクワット:10分あたり約50kcal
- 体幹トレーニング(プランク):10分あたり約44kcal
- ダンベル:10分あたり約119kcal
- 加圧トレーニング:10分あたり約100kcal
有酸素運動の種類と消費カロリー
有酸素運動は椅子や階段などを使って行うのがおすすめです。
主な有酸素運動の種類と消費カロリーがこちら
- ストレッチ:約29kcal
- 踏み台昇降運動:10分あたり約69kcal
- ラジオ体操:10分あたり約44kcal
- 縄跳び:10分あたり約153kcal
- ウォーキング:ゆっくり歩く場合10分あたり約37kcal・早いペースで歩く場合10分あたり約50kcal
- ジョギング:10分あたり約87kcal
- ランニング:10分あたり約131kcal
- ハイキング:10分あたり約66kcal
縄跳びやランニングは消費カロリーも多いですが、その分、疲労度も高いのでウォーキングや踏み台昇降運動などからじっくり取り組みましょう。
エクササイズの消費カロリー
有酸素運動でも消費カロリーが多めなのがエクササイズです。負荷が軽いものから、負荷が強めなエクササイズまで様々ですので、自身の体力に合ったものを選ぶのが良いでしょう。
近年人気が高い、エクササイズDVDやコンテンツの消費カロリーがこちらです。
- カーヴィーダンス:10分あたり約50kcal
- ビリーズブートキャンプ:10分あたり約62kcal
- TRFダンササイズ:10分あたり約50kcal
- コアリズム:10分あたり約50kcal
- フィギュアロビクス:10分あたり約50kcal
- ザ・トレーシーメソッド:10分あたり約50kcal
エアロビクス、コアリズム、ヤボクササイズなどがありますが、10分あたり約50kcalほどの消費が期待できます。
スポーツジムなどで運動器具を使ったトレーニングの種類と消費カロリー
スポーツジムなどでのトレーニングの種類と消費カロリーがこちらです。
- エアロバイク:10分あたり約106kcal
- ウエイトトレーニング:10分あたり約75kcal
- ホットヨガ:10分あたり約62kcal
- ピラティス:10分あたり約37kcal
- エアロビクス:10分あたり約85kcal
- ステッパー:10分あたり約60kcal
- ランニングマシン
- 水泳(クロール):10分あたり約104kcal
- 水中歩行:10分あたり約56kcal
- ボクシング(サンドバッグ):10分あたり約69kcal
水泳とエアロバイクは消費カロリーが多い有酸素運動ですので、スポーツジムに通える人は取り入れてみるのがおすすめです。
スポーツの消費カロリー
スポーツをすることができる時間がある人は運動に加えて、スポーツも取り入れていくと効率よくカロリーを消費できます。
- テニス:10分あたり約91kcal
- ゴルフ:10分あたり約37kcal
- バレーボール:10分あたり約37kcal
- バスケット:10分あたり約75kcal
- 卓球:10分あたり約50kcal
- サッカー:10分あたり約87kcal
- フットサル:10分あたり約129kcal
- 野球:10分あたり約62kcal
- スキー:10分あたり約87kcal
- スノーボード:10分あたり約66kcal
スポーツは強度が高めの無酸素運動な側面もありますが、瞬間的な動き以外の時間に走る・歩くといった行動による有酸素運動な動きもあるので、メタボ解消を目指す時にも取り入れていくことで、全身を使った運動ができます。
ぽっこりお腹なウエストに効果的なトレーニング

メタボなぽっこりお腹の脂肪を落とすには、体全体を使った有酸素運動や筋力をアップさせるトレーニングを行いますが、お腹周りのウエストラインを鍛えたい時には腹筋以外のトレーニングも取り入れていくのがおすすめです。
腹筋だけでは同じ箇所しか負荷がかからないので、違う動きを取り入れてウエスト周りにも負荷をかけていきましょう。
クランチ

定番の腹筋運動ですが、一般的なイメージの腹筋よりも上半身を起こすというよりも頭を腹筋に近づけるイメージで体を丸めるように上半身を起こします。完全に上半身を起こさなくても肩甲骨あたりが浮くくらいでも腹筋に負荷がかかるので、慣れるまでゆっくりと進めていきましょう。
アブアイソメトリック

アブアイソメトリック、通称プランクはうつ伏せになり、肘とつま先を床につけ体を持ち上げる(腕立て伏せの体制を肘から手先で支える体制)姿勢をキープして行うトレーニングです。
体幹を鍛えるのに効果的で、腹筋と太ももなどに負荷がかかります。初日は10秒から初めて少しづつキープする時間を長くしていくと、より負荷がかかっていきます。
レッグレイズ

レッグレイズは下腹あたりの筋力アップに効果的です。動きもシンプルなので誰でも取り入れやすいです。
うつ伏せに寝た状態で足先を天井に向けた状態で、両足を軽く伸ばした状態のまま体が90度になるくらいまで持ち上げます。足を戻す時には床に足がつかないように止めます。
最初は90度まで持ち上げなくても30度〜45度を目標に少しづつ負荷を上げていきましょう。
ニートゥエルボー

ニートゥエルボーは名前の通り、腹筋の姿勢から膝を肘にタッチする運動です。腹筋の態勢を取り、頭の後ろに両手を持っていき、その状態から上半身を軽く起こし膝を肘の方に曲げタッチしていく運動です。
右肘と左膝、左肘と右膝をタッチする動きで、ひねり要素も加わるため、効果的です。
レッグツイスト
レッグツイストは脇腹にも効くのでお腹周り全体のシェイプアップに効果的な運動です。仰向けに寝て、両手を真横に広げます。膝を立てた状態で足先を少し上げ、そのまま左、右と膝を倒してひねりを加えていきましょう。
運動前は準備運動をしっかりと行う
運動する前後には、必ず準備体操や整理体操をして筋肉や腱などをしっかりとほぐし、伸ばしてから初めましょう。
特にメタボな人の場合は運動不足というケースが多いので、その状態で急に体を動かすと、怪我や筋肉を痛めたり、心肺機能にも負担がかかるので、屈伸やストレッチなどの準備運動は必ず行うことを心がけます。
運動中の水分補給も忘れない
運動中は水分補給はこまめにするようにしましょう。メタボの人は血液に中性脂肪や血糖が多く、いわゆるドロドロな血液になっていることが多いです。この状態からさらにす分が不足することで、血液が流れにくくなり、血圧への影響が大きくなります。
メタボ解消のための運動まとめ

メタボ解消のための運動についてご紹介しました。
内臓脂肪を減らすための運動の基本は有酸素運動を基本に無酸素運動を取り入れることが基本となります。食事の見直しと共に運動を継続していくことで、摂取エネルギーが減少して消費エネルギー量が増える生活にシフトすることができます。
また、キツイ運動は避けてしっかり続けられる運動を取り入れることが長続きのポイント。
短期間で痩せたいと考える人も多いですが、継続して体を作った方が体型は維持しやすいです。軽い運動から初めて、少しづつ強度を上げていきましょう。
運動をすると体型キープはもちろん、心の健康にも良く、ストレスを感じやすい人の気分転換にもなります。仕事が忙しい人こそ、毎日短い時間でも体を動かす習慣を作ることがメタボ解消の鍵になります。スポーツジムや外出をしなくても、自宅での室内運動を取り入れて継続していきましょう!